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最高裁判所第二小法廷 昭和39年(オ)1299号 判決 1965年4月30日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人佐藤義雄の上告理由について。

配当異議訴訟の判決の効力はその訴訟の当事者である債権者の間にだけ及ぶものであつて、右訴訟において原告の請求が認容され係争の配当部分を配当する場合には、異議申立をしない他の債権者の債権は斟酌されない結果、原告の有する債権額の限度において、係争の配当部分を原告に配当し、残余があればこれを債務者に返還すべきものと解するのを相当とする。

本件において、原判決が第一審判決理由を引用して確定したところによれば、上告人両名および第一審被告村井繁雄は、訴外田中多蔵との間の各公正証書の執行力ある正本に基づき、それぞれ右訴外人の有する原判示の供託金取戻請求権を差し押え、配当裁判所において被上告人および上告人らの提出した計算書に基づき配当表を作成したのであるが、原判示の各公正証書は原判示の事情のもとに作成されたものであつて、前記村井の債権は存在するが、上告人らの各債権は存在しないというのであるから、右配当表のうち村井繁雄に対する部分を除くその余の部分を変更して、上告人らの配当を取り消して被上告人に原判示の金額を配当すべきものとした原判決は、前述の理由により正当である。

所論は、右と異なる見解のもとに原判決を非難するものであつて、採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外)

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